石澤良昭教授 記念講演会「なぜフランス語か」 (3)極楽浄土を願うカンボジアの人たち / 森本右近大夫一房の「祇園精舎圖」

極楽浄土を願うカンボジアの人たち

これはアンコールワットのある東南アジアです。ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマーも入っております。ベトナムのサイゴン(現在のホーチミンシティ)、ハノイ、タイのバンコック、カンボジアのプノンペン、ミャンマーのラングーン(ヤンゴン)が入った河川路と陸路地図です。

この地域では全く地震がない、また台風も来ない「ミニ桃源郷」的なところなのですね。そこで米を年2回作って、自分の後生を信仰に託し、極楽浄土へ行って安穏な日々を過ごしたいと願うのです。

カンボジアの仏教のテキストには、極楽浄土はどういう場所であるかが書いてあります。
一番上の涼しいところに僧侶がいる。その下には見習い修行の僧侶、その下に平民がいて、空に浮いた雲の上で安穏な日々を過ごしている。かしずいてくれるのは天女である。

短く言うと、そのような一連のストーリーがあります。
16世紀にヨーロッパの宣教師が「カンボジアの仏教はどのようなものか」という報告を本部の修道会に送っていますが、そのテキストとカンボジアの碑刻文で出てきたテキストを比べますと、全く同じなのです。

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