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髪結新三(八月納涼歌舞伎)

少し季節がずれたけれど「髪結新三」を観た
初秋の翌日木挽町の昼下がりは熱気が凄い。名作生世話物「梅雨小袖昔八丈”髪結新三“」を観た。初鰹のあしらいが出る外題通り初夏過ぎの作品が残暑厳しい時分に掛けられる?中村屋一門に取って深い縁がある八月歌舞伎興行だ、多分祖父17代目、父18代目勘三郎が得意の演目を是非にと中村勘九郎、七之助兄弟が念願したから掛かったと思う。
この作品を練り上げたのは六代目菊五郎だそうだ。前の松緑(スッキリし過ぎの新三だと思う)が懐かしそうに「松緑芸話」で語っている。私はシネマ歌舞伎で相当悪を振り回す17代目勘三郎の演技を観ている。映画からも迫力が伝わってきた。孫の勘九郎は満を侍しての今月初演だ。平成2年の八月の納涼歌舞伎旗揚げの時は坂東三津五郎(当時蓑助)や若手花形が揃った。確か玉三郎も参加したことがあったと思う。今月は三津五郎のご子息巳之助が重要な脇役、勘三郎や三津五郎と一緒に芸を磨いた坂東彌十郎が間合いが外れたような小悪党大家を演じている。これが中々佳かった。今や歌舞伎界の重鎮、中堅の頃はヤタラ背が高いので使われ方が難しかったらしい。友人の勘三郎が背中を押し立派な役者に化けたと聞く。観劇に影響するほどではないけれど、浴衣姿、髪結の小道具、初鰹等の活きの良さと言った感覚的な味わいが薄いように思った。恐らく江戸っ子気分の早い台詞回しが飛び交えば悪党どもの姑息な下心が快調に観られると思う。相手役を務めた松本幸四郎が演じる町のワル頭源七の台詞が大物風に聴こえたからかも知れない。添付した写真は勘九郎の親父による永代橋の見栄。(この写真は掲示していません。)
                                 秋葉 哲

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