岡田隆先生 学術研究担当副学長 インタビュー

プロフィール

岡田隆学術研究担当副学⻑

総合人間科学部心理学科教授

東京大学文学部心理学専修課程卒業後、東京大学大学院 人文科学研究科心理学専門課程博士課程修了。東京大学文学部助手、ドイツ・オルデンブルク大学⽣物学部博士研究員、科学技術振興事業団博士研究員、東京医科歯科大学難治疾患研究所助手、専修大学文学部助教授などを経て現職。

岡田先⽣は、ご自身のご在学時代にはどのようなことを学ばれていたのでしょうか?

私は高校生時代、心とは不思議なものであると漠然と感じている中で、進学先を選ぶ際に「心は自分でよくわかっていると一見思いがちであるが、情動などは自分でコントロールできるものではなく、人間の心には制御できる部分とできない部分が存在する」と思い、どのような仕組みでそうなっているかを考えたことがきっかけで脳と心の関係性に興味を持ちました。大学で心理学について学びを深めていく中で心理学の面白さを実感し、学者の道を進むことを決断しました。

どのような研究をされているのでしょうか?

現在も学⽣時代と同様に「⽣理心理学」と呼ばれる、行動や精神機能の⽣物学的基盤を研究する学問領域を中心に研究しています。心理学は文系に分類されることの多い学問ですが、動物実験などの自然科学的手法を用いて脳と心の関係性を追究しています。

現在先⽣は上智大学でどのような講義を開講されているのでしょうか?

⽣理心理学という名前の講義を開講しております。脳と心、心と身体の関係性についての授業になっています。そのほかにも心理学概論のような、より広いテーマの講義も担当しております。

上智大学の心理学科ならではの強みは何だとお考えですか?

幅広い分野で心理学を学べる点にあるかと思います。脳の仕組みなどに興味のある人は脳を研究対象にすることができ、目の前で困っている方を助けたいという人ならば臨床心理学を学べるというようにさまざまな分野で心理学を学べるところがまず一つの強みであると思います。
二点目として、一つの分野のみを学べば良いという体制ではなく、臨床心理学を中心に学んでいる人も脳について学んだり、実験を用いる授業があったりと、幅広い分野に必ず触れられるようになっているところかと思います。このようにさまざまな側面から心理学を学べ、また専門の教員がいるため、それぞれの分野を深く学ぶこともできるというのが最大の強みかと思います。

上智大学で教鞭を取られたり、副学⻑として過ごされる中で感じる「上智大学の魅力や強み、特徴」は何だとお考えですか?

東京の真ん中に位置し、理系も文系もすべての学部が一つのキャンパスに集まっていることでの相乗効果が特徴であり、強みであると思います。そのため、「学融合型」と呼ばれるさまざまな分野の研究者が集まって大きな研究プロジェクトを進めるといったことができるため、独自の研究分野に加え、ほかの専門の視点をそこに追加できる点が大きな強みであると思います。二つ目として上智大学の建学の理念でもあります「他者のために、他者とともに」という人間の尊厳という大方針に沿った研究が行われている点も特徴であると考えま す。

岡田先⽣は副学⻑としてはどのようなことをメインにご担当されているのですか?

私は5人の副学⻑がいる中で「学術研究」を担当しています。
取り組みの内容としては、大学全体の研究面の方針の検討や、教員が研究を進めやすいような環境作りをする業務を行っております。また、研究をご支援いただける企業様と打ち合わせをすることもあります。一方、大学における研究というのは教育とも密接に関係しており、良い研究者がいると必然的に良い教育に繋がります。そういった点では「学術研究」として独立しているわけではなく、学⻑やほかの副学⻑とさまざまな分野の視点から話合いを行い、連携をし、業務を行っております。

今、学術研究面で力を入れている取り組みはどのようなものがあるのでしょうか?

上智大学らしい研究プロジェクトとして、文部科学省の「私立大学ブランディング事業」として二件採択されたものがあります。
その一つは水問題をテーマにした事業で、その後継事業として、現在は水問題を含めたより広い範囲の「環境問題」について学融合型のプロジェクトを行っております。
もう一つのプロジェクトは「人間の安全保障」として、人間の尊厳に関わるような貧困や飢餓などのさまざまな問題の研究も行っております。
また文部科学省の「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」という事業に同志社大学を代表機関とする調査研究計画が採択され、そちらに上智大学も共同実施機関として参加しています。こちらは女性研究者の研究環境の整備をテーマとしており、海外の優れた取り組みを⽇本にも導入することを目的に調査や研究を行っております。

現在上智大学として進めている研究事業の詳細は、上智大学のホームページでも詳しく紹介しているので、ぜひ見てみてください。

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まとめ

お話を伺っていく中で、心理学の中にもさまざまな分野が存在し、脳科学的な理系の側面も持ち合わせる事を知ることができました。動物実験などは理系の学部学科でしか行わないものだと思っていたためとても新鮮でした。また上智大学が建学理念に基づきさまざまな研究を行っていることや、力を入れているプロジェクトについてもお伺いすることができ、とても貴重な機会でした。誠にありがとうございました。

インタビュー担当:経済学部経済学科 3 年近藤士右

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