■フェイズ 1 からフェイズ 3 まで、ずっと大事にしてきた言葉があるそうですね。
「C’est sympa(. セ・サンパ)」です。「sympathique(サ ンパティック)」。日本語でいうと「いいね」でしょうか。 フェイズ1でパリにいたとき、みんな「セ・サンパ」と言っ て流行語のようで好きになりました。
「サンパティック」の語源は共感。今こそ共感が求めら れていると思うのです。ネット社会で意思疎通が難しく なっていますが、共感できなかったら、コミュニケーショ ンは成立しません。
共感は他者とだけでなく、自分にもすることが大事で す。自分らしく生きるとは、自分に共感を持ちながら、 いつも自分が「セ・サンパ」と言えるような人生を送ろう。 こんな境地にフェイズ 3 で達したのです。人生も半分を 過ぎ、フェイズ 3 に入ったので、周りに対してだけでな く、自分にも「いつも『セ・サンパ』でいたいなあ、こ の言葉の響きがいいなあ。いつも共感は大事だなあ」って、 自分に話しかけているのです。若い頃には、軽い響きだっ た「セ・サンパ」。時を経て、どっしりと深く自分の心に 染み入る言葉になりました。
河野さんがフランス語を学んだのは、高校恩師の薦め という偶然からだったという。相撲道を究め、フラン ス文化を理解できるようになり、今、日本の古典を 探求しようとする河野さんは、フェイズ 3 で、稀有 な人生経験をどのように美に昇華していくのだろう。
「C’est sympa.」興味は尽きない。
インタビュー/文 AADEF会報チーム 小笹俊一
河野景子 ( こうのけいこ ) さんのプロフィール
大学卒業後、1988 年にフジテレビにアナウンサーとして入局。報道からバラエティまで幅広く担当し、パリ特派員時代に ジスカール・デスタン大統領、後に大統領になるシラクパリ市 長やソフィー・マルソー等の取材を実現。
95 年結婚後、2002-18 年まで相撲部屋の女将を務める。
2016 年 株式会社ル・クール 設立。河野景子のことばのアカデミー開校。
アナウンサー時代・ 相撲部屋の女将時代の経験に基づいた「河野景子流メソッド」 でコミュニケーション術のレッスンを行っている。