石澤良昭教授 記念講演会「なぜフランス語か」(1)初めてのカンボジア -フランス極東学院から学んだ「アジア研究」

2023年12月17日 AADEFでは対面&オンラインのハイブリッド講演会を開催。60 年代のカンボジア初訪問にさかのぼり、ソフィアミッションとしての長年の活動から、アンコール・ワット西参道完成渡り初め式典の最新ニュースまで、フランス語との出会いとフランス語が触媒となって広がった世界について石澤良昭先生にたっぷりお話しいただきました。

司会は受験生だった頃に石澤良昭先生を訪ねて以来のご縁を大切にしているという木村元紀さん(2004 年卒)。

当日のお話の全文に当日配布された資料を加え、ご紹介します。

2024年5月 All Sophians’ Festivalにて 
左は講演会の司会 木村元紀さん(2004 年卒)

二つの基本の教え


私には二つの大きな基本的な教えがあります。

その一つは、「見えないものを、よく見ろ」ということです。
リーチ先生に連れられて1959年から60年にかけてカンボジアへまいりましたとき、その旅の途中、先生の時間があるときに、サン=テグジュペリ(Saint Exupéry)の『星の王子さま』を引用して、いろいろ話をしてくださる機会がありました。
キツネが王子さまに教えた秘密の話を聞いたときは、自分は「先生は何が言いたいのだろうか?」と意味がわからずにキョトンとしていましたが、家に帰ってから、先生の話についてじっくり考えてみると、「目に見えないものをよく見ることが大切なのだ」ということがよくわかりました。

(参考資料)『上智大学ロールモデル集Ⅹ ソフィアのダイバーシティ 先哲に学ぶ多様性との向き合い方』 上智学院ダイバーシティ推進室、2021年3月発行 

『星の王子さま』のなかで、キツネは王子さまに 「さようなら」と言ってから、こう語りかけています。

「じゃあ秘密を教えるよ。とても簡単なことだ。物事(ものごと)は心で見なくてはよく見えない。 いちばん大切なことは、目に見えない」。その前の場面で「『なつく』ってどういうこと?」と尋ねる王子さまに、キツネは「それはね、『絆 を結ぶ』ということだよ」「もし君が僕をなつかせたら、僕らは互いになくてはならない存在になる」(『星の王子さま』河野万里子訳、新潮文庫)

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