幕末遣外使節団
幕末の遣外使節について、ちょっとおさらいしますと、2021年には渋沢栄一が主人公のNHK大河ドラマが放映されたので、急に身近になりました。確かに友信の履歴書に「贈呈品製作のために、いくらいくら(何両)、時服、反物を拝領した」などと書いてあるのですね。
幕府にお金がない幕末のこの時期に、海外に派遣した使節団は5回。
最初がアメリカへの万延元年の遣米使節、2番目は今回贈呈品が再発見された文久2年の竹内下野守の遣欧使節です。
一行のなかには、医師や通弁(通訳)など、アメリカに行った人も混じっています。また幕末にこの使節で派遣された人々は明治になってから皆、活躍するのですね。
ただ、文久2(1862)年の正使、竹内下野守はもう53歳になっていました。フランスにはこの後、文久3 (1863)、慶應3(1867)年と、計3回派遣されています。
2021年のフォンテーヌブローのFestival de l’Histoire d’artでは、この3回の贈呈品と、使節団の帰国後に「大変お世話になったので」と御礼に送ったものも、展示されたようです。
これが展覧会図録に掲載されている文久2年の使節の旅程 Itinéraire de l’Ambassade japonaise de 1862 で、フランス側が製作したので西暦です。日本側の記録はまだ陰暦なので複雑なのですが、訪問したのは条約を締結したフランス、イギリス、ドイツそしてロシアです。それに鎖国中にも国交があったポルトガルとオランダを加えた6カ国を訪ねて、掛軸を十幅ずつ贈っています。このたびの発見でよくわかりました。