掛け軸を取り囲む「表装裂(ひょうそうぎれ)」
今回の贈呈品について調べた遠山記念館館長の鈴木廣之先生の解説がこの図録にあるのですが、これによると、この掛軸十幅が文久2年の遣欧使節の贈呈品であるとわかった決め手が、この掛軸を取り囲む「表装裂(ひょうそうぎれ)」といわれる織物なのです。
つまりこの十幅が二幅ずつ -今ここに一番右に友信の絵がありますけれども- 隣の住吉広賢(すみよしひろかた、幕府奥絵師住吉家8代目、天保6年(1825)生、明治16年(1883)没)が描いた「竜田紅葉図」と同じ表装裂を使っているのです。
こちらは、また違う「表装裂」、そして「中廻し(なかまわし)」と「天(てん)/地(ち)」ですね、
これで8幅。2幅ずつ同じ表装裂でペアになっているのです。