21世紀を担う子どもたちのために平和のメッセージを世界に運ぶ「鯉のぼり」 Saulnier-Blache祐子さん(1968年卒)

2024年5月 フランス語学科の大先輩 Saulnier-Blache服部祐子さんをお訪ねすると、パリ Nation近くのご自宅前Turquetil通りに色鮮やかな鯉のぼりがたくさん泳いでいました。
この機会に、祐子さんが21世紀の幕開けに手がけられた「鯉のぼりプロジェクト」のお話を伺いました。

Passage Turquetil 皐月の青空に泳ぐ鯉のぼり

 このTurquetil通りには御覧のような鯉のぼりが5月1日から飾られています。これは何年か前から、私が「日仏文化センター」として活動していた時代を知っている住民たちが、「Sachiko、僕らの通りに又あの色とりどりの鯉のぼりをかけようよ」、と声をかけてくれて、皆の協力を得て掛けるようになったものです。

 ユネスコの共催を得て発足した2003年から2010年まで続けたこの事業に、岡山県和気市にある「徳永鯉のぼり」から毎年支援をいただきました。この4月に、会長徳永様が14年振りにパリにいらした折には、また新しい鯉のぼりを住民たちに寄付して下さったお陰様で、鯉のぼりの数も増えて今年は去年よりも少し賑やかになりました。

 この通りは5年前から歩行者天国になったので、今は一般の車は通らないし駐車も出来なくなって普段は静かなのですが、毎年5月1日のメーデーの日はナッション広場がデモの終点で、その日はお祭り気分で集まった大勢の人々がその帰り道、この石畳の路地を通って鯉のぼりを発見しては物珍しい光景に驚いてパチパチ写真を撮るようになりました。
 この通りに色彩豊かなPoissonsが5月1日から30日までの1カ月、5月の風に吹かれて泳いでいるというのが知られるようになってきているので、その内、この通りは12区の名物になるかもしれません。

 かつてのセンターのあった建物には、今は3階建て各階に2軒づつ、合計6軒のアパートが出来ています。ここに住む人々はドイツ人、スイス人、英国人も居て、加えて私日本人と、こんな小さな所でもどこか国際的な雰囲気があって、しかも皆サンパな人達ばかりなので、今はVillage Turquetil(Turquetil村)と言って皆が何かにつけ協力し合って楽しい付き合いが続いています。

 2003年当時、「鯉のぼり」プロジェクトを始めた頃に、ユネスコ加盟国195か国の国旗を飾るポールに鯉のぼりがざらっとかけられたあの光景は本当に絶景でしたよ。

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