(参考) 『アンコール王朝の水利都市』(2023年)解説
なぜ、アンコール王朝がアンコール・ワットなど石造大伽藍をいくつも建立できたのか?
歴史の疑問に応えて1979年にフランス極東学院のベルナール・フィリップ・グロリエが「水利都市」論を発表した(本書第3章に訳稿収載)。その後、世界で賛否の大論争が続いてきた。
本書では、アンコール王朝の「水利都市」の成り立ちとその社会的・経済的背景を詳解。さらに、グロリエの2本の論文により、歴史・地理・宗教の背景説明を補強し、同時に盟友のG・コンドミナス論文とJ・デュマルセイ論文で手堅く脇を固めた。
また、長年にわたるフランス極東学院の地道な現地調査と、国際協力機構(JICA)作成の5000分の1の地形図データやアメリカ航空宇宙局(NASA)による高解像度機器調査、さらにNHKによる水利都市映像化番組「水の帝国アンコール・ワット」(1997年放映)の協力を得て、グロリエの「水利都市論」をここに立証する。
(つづく)
上智大学フランス語学科同窓会・フランス語学科共催
石澤良昭教授 記念講演会(2023年12月17日)全文会報44号(2024年8月25日発行)に抄録を掲載
図版は特に記す以外は石澤先生の講演資料による。