石澤良昭教授 記念講演会「なぜフランス語か」 (4)「最初の井戸を掘ったソフィア・ミッション」(上智大学国際奉仕活動) 文化復興のための遺跡救済

アンコール遺跡内のバンテアイ・クデイ寺院の地中から274体(計280体)の仏像を発掘(2001年)

上智大学アンコール遺跡国際調査団がカンボジア人保存官の育成のため、1991 年から考古学の実習をバンテアイ・クデイ遺跡で実施しておりましたところ、11年目の2001年に地下から274体の、頭をはねられた廃仏と千体仏石柱が出てきたのです。これにはびっくりしました。
そんなこと考えてもいないし、そんな事件があったとも知らないし、アンコール王朝の歴史に新たな1ページを開くものが、この写真の場所から出てきたのです。歴史を塗り替える大発見でありました。
仏教を手厚く保護していたと信じられていた最盛期の王様が廃仏毀釈を行なっていた、ということが判明したショッキングな出来事でもありました。

考古学を学んでいるカンボジア人の学生さんが大変暑い時期に毎日汗をかきながら地中に埋められている仏像を発掘し、世界中から集まったメデイアに毎日「今日は何が出た」という記者会見をしながら、作業を進めた1ヶ月でありました。
この発見はカンボジア人にとっては民族の誇りを取り戻すきっかけになりました。全世界からメデイアが集まって注目する発掘がカンボジアで行われている。「私たちの民族は素晴らしい」と誇りを取り戻すきっかけを作ったのですね。

2010 年にさらに 6 体が地中から発掘され、合計 280 体。2015 年にも 4 体が発掘されました。

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