狩野友信とともに フォンテーヌブロー宮殿蔵 「紅葉に青鳩図」への道 (1)はこちら
狩野友信とともに フォンテーヌブロー宮殿蔵 「紅葉に青鳩図」への道 (2)はこちら
フォンテーヌブロー宮殿贈呈品再発見と取材依頼
父が亡くなって27年ですが、20年以上のあいだ、少しずつ調べて論文のかたちで発表していました。伝記として出版する準備を進めていた最中に、一通のメールが立教大学から転送されてきました。2021年5月のことです。それがNHKからの取材依頼だったのです。
メールに添付されていた企画書を見ますと、非常にご丁寧な内容です。
企画趣旨: パリ郊外にあるフォンテーヌブロー宮殿は、歴代フランス王が愛した“美 の神髄が宿る場所”。 ここで今年6月、日本の美をテーマに「フォンテーヌブロー美 術史フェスティバル」が開催されます。 それを機に、NHKでは「フランス芸術800年の神髄」と「新発見の幕末の美術品」という2部構成で、日仏両国を美でつ なぐ番組を企画します。 中世より造営が始まったフォンテーヌブロー宮殿には、数百年に及ぶ歴代君主の住居や美術品が残されています。 その宮殿でおととし、幕末日本からフランスに贈られた屏風や掛軸、漆工芸品などの貴重な贈答品が発見され、今回のフェスティバ ルを機に初公開されることになりました。徳川家茂が文久年間に派遣した遣欧使節団によるものと見られています。番組では、幕末の絵師らが結集して制作したその 美術品を紹介。幕末絵画の持つ美意識を見つめます。 取材希望内容: 今回、宮殿で発見された贈答品のうち、掛軸は10幅。そこには、 狩野春川友信「紅葉に青鳩図」、狩野菫川中信「山水図」が含まれていました。取材を行う中で、山田先生が狩野友信の曾孫に当たられることを知り、また研究論文も拝読いたしました。 |
18歳の友信が描いて皇帝ナポレオン三世に献上された「紅葉に青鳩図」です。去年までその存在すら知らなかったので、非常に嬉しい発見でした。
フォンテーヌ宮殿では毎年夏に、特定の国の美術品を紹介するFestival de l’histoire d’art が開催されており、2020年の招待国として、ヨーロッパ以外の国では初めて日本が選ばれたのです。そこで宮殿内を探してみたら、中国美術品に混じっていた日本の掛軸が再発見されたというわけです。