ル・モンド・ディプロマティーク(以下「ディプロ」)とこのル・モンド紙との関係は。
ディプロは月刊紙、ル・モンドは日刊紙です。1954 年創刊のディプロはもともとル・モンドの補完紙でしたが、1973 年から編集において、1996 年には経営においてもル・モンドから “独立” し、今ではまったく別の媒体です。ディプロの株式の一部は今でもル・モンド(株)が保有していますが、一定の割合をディプロ側が確保しているため、編集・人事面で外部から介入されません。あらゆるテーマを批判的に考察し、論じるディプロにとって “独立メディア” であることは非常に重要でして、ル・モンドに書かれた内容を批判することも珍しくありません。他方で、販売促進のため両者が協力することもあります。
ディプロはどうしたら試読、購読できますか。
仏語版はインターネットサイトにアクセスすれば購読しなくとも記事の一部は読めますし、一面の論説など、全文を公開している記事もいくらかあります。SNS でも積極的に記事を発信しています。購読する場合は購読ページから、クレジットカード決済で簡単に契約できます(紙版 + デジタル版で月 6.6 €、デジタル版のみで月 5.4 €)。英語版もあります。日本語版は今のところ全記事を無料公開していますが、さらなる発展を目指し、ウェブサイトの全面刷新と購読システム導入の準備を進めているところです。
卒業後は総合電機メーカーで資材調達のお仕事でした。2 年後に退社して学び直しされます。
配属された茨城県日立市の工場でがむしゃらに働いて1 年半後には「ここではない」と悟りました。転職をまず考えましたが、東京から離れた日立市で仕事に明け暮れるなかで、さらには 2008 年のリーマンショックの影響が続くなかで転職活動をするのは困難だろうと思い、大学院への進学を目指しました(それもある意味無謀な挑戦でしたが ….)。また、資材調達という仕事を経験したことで国際政治経済や貿易、グローバリゼーションについて大きな関心を持ったのも進学を目指した理由です。研究しながらキャリアについてもう一度ゆっくり考えたいと思いました。
ディプロとの出会いは博士後期課程の 2 年目(2014 年)でした。ギリシャ危機について調査していたところ、たまたまディプロ仏語版の記事を見つけました。分析に深みがあってとても興味深かったのを覚えています。難解かつ長文の記事ばかりで「果たして自分に読めるのか」と不安もありましたが、すぐに購読者になりました。その後、2015 年冬にディプロ日本語版の会に入会し、翻訳をスタートしました。