伊呂原隆先⽣ 学務担当副学長 インタビュー

プロフィール

伊呂原隆学務担当副学⻑

理工学部情報理工学科教授

早稲田大学理工学部工業経営学科(現、経営システム工学科)卒業後、早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。⽇本学術振興会特別研究員、早稲田大学理工学部助手、上智大学理工学部専任講師などを経て現職。

伊呂原先⽣は、ご自身のご在学時代にはどのようなことを学ばれていたのでしょうか?

私は早稲田大学の理工学部工業経営学科(現在の経営システム工学科)に所属しておりました。理工学部と聞くと数学や物理、化学を思い浮かべる方が多いかと思われますが、それとは少し違い主に「企業経営」を専門に学ぶ学科でした。ですのでどちらかと言えば経営学科などが取り扱う内容に近いかと思います。経営学科との大きな違いとしては、企業における製造や物流の効率化について数学や工学的な観点から問題を解決するという点にあります。膨大なデータを基に解析して最適な運営方法を考える「データサイエンス」と呼ばれるような学問ともいえます。そのため、数学的な手段で問題解決に臨む理系の側面と研究対象である企業経営という文系の側面の両方を持ち合わせた学問になっています。

現在はどのような研究をされているのでしょうか?

大学時代から一貫して経営工学について研究しております。企業経営の中でも特に⽣産や物流にフォーカスして研究を行っていて、論文を書いたり学会で発表したりするほか、企業との共同研究も並行して行っております。

企業との共同研究ということで、学内に限らず実践的な研究活動に取り組まれているんですね。

そうですね。「企業の今」に役立つことを目指し、メーカー企業を中心に実践的・実務的な研究を行っています。

学⽣時代から一貫して研究なさっている経営工学にはいつご興味を持たれたのですか?

高校⽣のときに興味を持ちました。
大学の専攻を迷っていた際に偶然経営工学に関する本を手に取ったことがきっかけです。数学が好きで理系に行こうと考えてはいたのですが、物理や化学といったいわゆる理科科目にはそこまで関心が強いわけではなかったため、数学を用いて企業経営を取り扱う分野があることを本を通して知り、現在の道に進みました。

上智大学には先生が専攻された経営システム工学科のような学科はありませんが、経営工学に関する授業はあるのでしょうか?

私が講師として経営工学の授業を開講しております。理工学部として開講している授業ですが、経済学部など他学部の学⽣も履修しています。

上智大学で教鞭を取られたり、副学⻑として過ごされたりする中で感じる「上智大学の魅力や強み、特徴」は何だとお考えですか?

やはりグローバルであるところが上智大学の強みであると思います。
数多くの学⽣が世界中からやってきて、同じように上智大学の学⽣もまた世界各地へ留学に行くところ、また教員に関しても海外で活動している先⽣が上智大学に来られて授業をしているなど、グローバルな環境の中で日々研究がなされているということが上智大学のこれまでも、そしてこれからも続く強みなのではないかと思います。
コロナ禍においても、オンライン上で海外の大学と繋ぎ授業を行うなど、グローバルな活動を滞ることなくやってきました。コロナが収束するにつれてまた本来の姿に戻っていけるようになることを願っております。

伊呂原先⽣は副学⻑としてはどのようなことをメインにご担当されているのですか?

私は5人副学⻑がいる中で「学務」を担当しています。
一体何をしているのか想像がつきにくいかと思うのですが、簡単に言い換えると「学事」と呼ばれる内容になります。学生の皆さんで「学事センター」と言って知らない方は恐らくいないと思いますが、「学務」というのはいわゆる学事センターの「学事」にあたることになります。具体的には学⽣がシラバスを見て履修登録をし、授業とテストを受け、単位を取得して卒業するという一連の流れのサポートになります。シラバスの作成を教員にお願いしたり、コロナ禍においての授業の対面実施の有無や密の防止策等を考えたりと学事センターと一緒になって行う業務や、全学共通科目や言語科目、各学科の授業について議論を重ね、それらの授業のあるべき姿を考えるなど、主に授業に関することを担当しておりま す。

今、上智大学が学務として力を入れている取り組みはどのようなものがあるのでしょうか?

基盤教育への取り組みを強化しています。ここでの「基盤」とは、学科で専門科目を学ぶためだけの「基盤」ではなく、人生100年時代に大学卒業後も生涯に渡って学び続けていくための「基盤」を意味しています。

多くの大学で専門以外のことを学べる幅広い勉学の場として全学共通の科目が設けられていますが、低学年でそれらの授業の単位を取り終えてしまい、それ以降は自分の専門科目以外にはあまり触れないというケースが見られます。上智大学では2022 年度入学の学⽣から専門分野に関わらず、これからの時代に必要となるデータサイエンスの概論科目や批判的思考力・表現力を身に着ける科目などを新たに必修として一年生で学び、高学年になっても各分野の上位レベルの科目を自らの意思で選択し、継続して学んでもらえるような科目配置を行います。
このような基盤教育を導入する狙いとして「自律した学修者の育成」があげられます。言い換えると、誰かから指示されたとおりに学ぶのではなく、自ら何を学ぶべきかを考え学修していく「自身を律する能力」の向上を目的としています。学生の皆さんは大学卒業後も常に学び続け、目まぐるしく変わりゆく社会についていかなければなりません。そのような環境の中でも常に学び続ける意欲や能力を持つ人材を育てることに注力しております。この取り組みはほかの大学では見られない上智大学ならではの取り組みなのではないかなと思います。

基盤教育の強化といった新たな取り組みを行う中で、今後学生にどのようなことを期待しますか?

どんなことでも良いので自分がやろうと思ったことに対して「とにもかくにも遮二無二がむしゃらに頑張る」ことができる学生であってほしいなと思います。結果に拘るのではなく「努力だけは誰にも負けない」という気持ちで物事に取り組めば、いつか何かしらの形でそれが実るときが来るはずです。そういう学生さんが一人でも増えることを願っています。

まとめ

上智大学で学んでいる中で意外と忘れがちな上智大学のグローバルさや取り組みに改めて気付くことができました。伊呂原先生が仰っていた「自律した学修者」とはまさしく理想とするべき生き方であり、常に自分から主体的に学んでいく姿勢を忘れないように心がけようと思いました。この度は貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございました。

インタビュー担当:経済学部経済学科 3 年近藤士右

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

目次
閉じる