目の見えない人と歩けない人
下巻第1話が、このL’aveugle et le paralytique(「目の見えない人と歩けない人」)。
このふたりのお話が平安時代の日本に移して描かれていて、摺りの絵具の状態がすごく良く、色鮮やかに残っています。
絵の具の状態が良いというだけでなく、縮緬本は摺った木版画を濡らしてぎゅっと縮めます。今の人が再現しようとすると、お茶の缶のようなものに巻いて、それをぎゅっと皺をよせる、いわゆる「クレープペーパーブック」と呼ばれるものです。
ですので、縮めていない版もあるのですが、縮めたもののほうが二回りぐらい小さいです。
これは私が伝記には紹介するスペースがなかったので、載せていないフランス語のページ、L’aveugle et le paralytiqueの仏文テキストです。韻文になっていますね。
『ラ・フォンテーヌ寓話』はいろいろな日本語訳が出ていますが、『フロリアン寓話』に関しては日本語訳が見当たりません。18世紀のフランス語の韻文で難しいのですが、お話が知りたいと思って、久しぶりに自分で仏文和訳してから、高山晶先生に見ていただきました。
結果的には、本を出すにあたって巻末付録として友信が挿絵を描いている物語をすべて和訳して載せることにしました。
●参考 高山晶著『ピエール・バルブトー ―知られざるオリエンタリスト』(慶應義塾大学出版2008年)
(つづく)