今年度(2023年4月)から学科長を務める高橋です。現在 7 月 20 日、春学期授業最終週、学生たちは基礎フランス語や総合フランス語の期末試験に臨んでいます。 新型コロナが流行しています。 フランス語学科でも 6 月から 7 月 にかけて毎週のように感染する学生がいました。しかし、大学はコロナ禍前の賑わいを完全に取り戻しているといってよいでしょう。文字通り人っ子一人いない 「メンスト」を呆然と眺めていた 2020 年度を思えば、学生でごった返すキャンパスはやはりよいものです。
僕が学科教員として赴任してから 15 年以上が過ぎましたが、「フラ語」の学生の特徴は大きくは変わっていないという印象です。フランス語の成績がよいかどうかではなく、自分の生きる時間をなんとか価値あるものにしたいともがいているという点で(時に心配なほどに)真面目でまっすぐ、そういう学生が多いのは今も昔も同じです。
ただフランス語学科、外国語学部を囲む環境は変わりました。 日本の経済状況もあって留学へのハードルは以前より上がっています。外国語教育という点でいえば機械翻訳や AI の影響を考慮せざるをえません。「もう外国語教育は必要なくなるのでは」との疑問を投げかけられることもあります。本気で外国語の習得に向き合い、それを直接使うことの喜びを知る者からは出てきようのない言葉で、こうした指摘は今のところ一顧だにしていません。むしろ学科では、これらの技術を踏まえたフランス語教育の新たな可能性を模索している最中です。
こうした背景もあるのでしょうか。外国語学部の訴求力を疑問視する声を内外で耳にします。けれど、将来どんな道に進んでも必ず自分の力になる外国語の習得に励みながら、入学後に多種多様な分野から自分の専門を選べるこの学部は現代日本の高校生にとって理想的な教育を提供していると自負しています。学科長として、フランス語の魅力とともにこうしたカリキュラムの特長を発信していきたいと考えています。
同窓会のみなさんにもお力を貸していただきたいと思っています。学科サイトにフランス語学科卒業生のみなさんの「これまで」と「今」についてのレポートを載せたり、学科長から個別のインタビューをお願いすることも考えています。こうした発信は単に受験生を惹きつけるだけではなく、現役の学生たちの学習意欲を刺激し、将来への視野を広げることにつながります。どうぞご協力をお願いいたします。 (2023年7月記)
高橋暁生先生が登場!同窓会オンラインイベント(2021年11月開催)のレポートも併せてご覧ください。
「高橋先生に聞く「フランス語学科のいま」
学生とのつながり、上智のフランス語学科でフランス語を学ぶ意味、研究の根抵にある関心について、ゼミの学生さんの扱うテーマ、同窓会に期待することなど、着任された早々の時期に入学した世代(2007年度・2009年度入学)の3名の卒業生 - 大六野礼子さん、中山舞さん、松澤オレリアン将樹さん- といっしょに、縦横に語ってくださいました。
イベント全文 → こちらから https://sophiakai.net/aadef/2022/01/25/prtakahashionline/