森本右近大夫一房(かずふさ)は平面図「祇園精舎圖」を作成しました。廊下の幅や長さ、尖塔の高さなどをアンコールワットの平面図と比較してみますと、ぴったり合うのです。このように絵図面を描いて日本へ持ち帰りましたが、これが一つの禍いとなりました。帰国後すぐ海外渡航禁止令が出て鎖国が始まったからです。これが、アンコール研究の日本とのつながりであります。
ちなみに、一房はもともと熊本の加藤藩の出身ですが、外国へ行ったことが知られるとお家取り潰しになるので、帰って来てから京都で蟄居するようになりました。加藤家が改易を命じられると、代わりに細川家が入り、森本家は細川家に仕えました。細川家は一房が京都にいることを知っていて、江戸末期にまたお墓を修復改葬するということを行なっております。
The World’s Oldest Plan of Angkor by Yoshiaki Ishizawa
Udaya Journal of Khmer Studies(2015)
Angkor Database にてPDFが入手できます。