『ぐりとぐら』と、父の想い出

ルーツをたどる  松倉(里見)郁代(1980年卒) 

Pouf et Noiraud

「あ、この絵本持ってる!」私は新聞記事を読んで心の中で叫びました。その2021 年5 月4 日付朝日新聞の中川李枝子さんのインタビュー記事には、「ぐりとぐらの名前は、子どもたちが気に入っていたフランスの絵本『プッフ エ ノワロ』からちょうだいしました」と書いてありました。

 「プッフ エ ノワロ」? 

これは私が持っている“Pouf et Noiraud” に違いありません。あの有名な「ぐりとぐら」の名前は、あの絵本の中にあったんだ?! 知らなかった私は、本棚に大切にしまっていた60 年前のぼろぼろに擦り切れた絵本を取り出して、ページを開いてみました。

 本当だ! キャンプに行った二匹の子猫Pouf とNoiraud が寝ていると、ねずみが歌を歌っています。

  Gri Grou Gra. Les souris n’ aiment pas les chats.
  Gra Gri Grou. Il fait plus chaud que dans un trou.
  Gra Grou Gri. Nous dormirons donc ici.

なるほど、ここからぐりとぐら、という変な名前ができたのか!とうれしく納得しました。

懐かしい絵本や雑誌、新聞の切り抜きなど、宝物のように大切に持っています。

 ところで、Pouf et Noiraud という子ネコの名前は,フランス語では当たり前の名前なのでしょうか? 

日本だったら子ネコの名前は(当時)さしずめ「チビ」とか「タマ」とかが普通でしたから、私にとって「プッフとノワロ」は、とても異な響きを持つ名前でした。

Noiraudは、「クロ」でしょうから、まぁよいとして。

どなたかフランス語の猫の名前に詳しい方、どうぞご教示ください!  そして,この歌はちゃんと韻を踏んでいることに、今頃になって気がつきました。もっとちゃんと勉強しておけばなぁ・・・

 フランスからのお土産
『ぷふ と のあろう きゃんぷにいく のまき』 
Hachette社 1954年刊。
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