絵本作家 山脇(大村)百合子さんの仕事

ロベちゃんに発音を徹底的になおされた

大野 ロベちゃんはね、僕らが何年のときだったかな、日本へやって来たのですよ、教わってはいなくて。

山本 神学生だったわね。

大野 そうそうそう。語劇祭っていうのができて、 たまたま私が暁星から来たから、フランス語できるだろうって、モリエールの”Le Bourgeois gentilhomme”『町人貴族』の仕立て屋の親方でデビューしたのです。
1年から4年の先輩まで全員の発音指導、そこでロベさんを知った。ロベちゃんに徹底的に母音を全部矯正されましたね。

1960年代当時のロベさん。 ©Junzo Sano

僕はもう今は喋れないけども、まだ今でもセリフが時々出てくるんですよ。
「フラ研(フランス文化研究会)」っていうのが中心になって、劇だとか、ほかのカルチャーも含めていろいろやってたのです。HorizonとかDoncという雑誌や新聞も出して。

山本 HorizonDoncも、うちにありますよ。

大野 1年先輩の細谷さん、壊れたウクレレ1本で作曲できる人で、舞台の効果音楽を担当してくれたのですよね。1年から4年まで全員がいろんな形で語劇に突入したわけです。

語劇で親子の役をやった、だから百合子さんは僕の「娘」

大野 なんで百合子さんとこんなに親しいのかというのはね、やっぱりEugène Labicheの”Un chapeau de paille d’Italie”『イタリア麦の帽子』。この劇を演ったときに僕はノナンクールっていう造園の親方で、娘のエレーヌが百合子さんだった。それでずっと僕のはがきではma filleって書くわけです。
仕立て屋の親方、このノナンクール、それから”Le Malade imaginaire”『気でやむ男』、”George Dandin ou le Mari confondu”『ジョルジュ・ダンダン』もやった(いずれもモリエール作の戯曲)。
だから僕らは4年間何やったかっていうと芝居に明け暮れてたんですね。

「Eugène Labicheの”Un chapeau de paille d’Italie”のここ、親子の役をやったのです」
Nonancourt と娘のHélèneが登場する部分
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