ロベちゃんに発音を徹底的になおされた
大野 ロベちゃんはね、僕らが何年のときだったかな、日本へやって来たのですよ、教わってはいなくて。
山本 神学生だったわね。
大野 そうそうそう。語劇祭っていうのができて、 たまたま私が暁星から来たから、フランス語できるだろうって、モリエールの”Le Bourgeois gentilhomme”『町人貴族』の仕立て屋の親方でデビューしたのです。
1年から4年の先輩まで全員の発音指導、そこでロベさんを知った。ロベちゃんに徹底的に母音を全部矯正されましたね。
僕はもう今は喋れないけども、まだ今でもセリフが時々出てくるんですよ。
「フラ研(フランス文化研究会)」っていうのが中心になって、劇だとか、ほかのカルチャーも含めていろいろやってたのです。HorizonとかDoncという雑誌や新聞も出して。
山本 HorizonもDoncも、うちにありますよ。
大野 1年先輩の細谷さん、壊れたウクレレ1本で作曲できる人で、舞台の効果音楽を担当してくれたのですよね。1年から4年まで全員がいろんな形で語劇に突入したわけです。
語劇で親子の役をやった、だから百合子さんは僕の「娘」
大野 なんで百合子さんとこんなに親しいのかというのはね、やっぱりEugène Labicheの”Un chapeau de paille d’Italie”『イタリア麦の帽子』。この劇を演ったときに僕はノナンクールっていう造園の親方で、娘のエレーヌが百合子さんだった。それでずっと僕のはがきではma filleって書くわけです。
仕立て屋の親方、このノナンクール、それから”Le Malade imaginaire”『気でやむ男』、”George Dandin ou le Mari confondu”『ジョルジュ・ダンダン』もやった(いずれもモリエール作の戯曲)。
だから僕らは4年間何やったかっていうと芝居に明け暮れてたんですね。